「眼球」ではなく「視覚野」に“呼ばれた”セッション。
タッチセラピーの業界では、“呼ばれた”場所に触れる、ということがあります。
いろいろな人の身体に触るようになっていくと、施術者(セラピスト)は何となく、凝っている部位、詰まっている部位、硬い部位がわかるようになります。
「ここをほぐしておくと良さそうだ」と直感的に感じるのが“呼ばれる場所”です。
クラニオセイクラル・バイオダイナミクスは揉みほぐし系のワークではありませんが、同様に、クライアントの身体に“呼ばれる”ことを重要視しています。
こんなことがありました。
クライアントさんから「眼が疲れている」と訴えがある場合、私はクラニオバイオのテクニックの一つ「アイワーク」を行うことがあります。アイワークは眼球が収まっている骨のスペースを広げる手技で、これを行うと緊張で硬くなった眼球が広がり、多くのクライアントさんが眼がラクになったと感想をくださいます。
しかし、先日行ったセッションで、クライアントさんの眼が疲れているのを知っていたにもかかわらず、なぜかアイワークをする気持ちになりませんでした。
しばらくすると、ふと「後頭部に触れたほうがいい気がする」という感覚がやってきたので、「液のお皿」というテクニックで、クライアントさんの後頭部に触れると、後頭部の左右が熱く反応。
「ここに触れて!」という身体の主張が強くあったので、そこに10分くらい触れていくと、熱さと硬さがなくなり、周辺が穏やかにやわらかくなり、やがて変化が鎮まっていきました。
この後頭部の左右には、実は「脳の視覚野」が存在します。視覚を統合する重要部位です。

セッションが終わるとクライアントさんは、「眼に触れていないのに、視界がスッキリしているし、嫌な(視覚の)イメージがなくなった」とおっしゃいました。
…さて、このセッションで何が起こったか?を主観で振り返ってみます。
クライアントさんは
①眼が疲れている
②嫌な視覚イメージを何とかしたい
という要望がありました。
でもアイワークだと、視覚の入口となる眼球にしか触れない。眼精疲労にはいいけれど、それだとたぶん①しか解消しない。
②を解消、変化させるには、視覚の統合を行う視覚野近辺にアプローチする必要がある・・・。賢いクライアントさんの身体システムはそう判断し、「眼球」ではなく「視覚の統合を行う視覚野周辺」に触れるように私を導いてくれた。
これは思い切り私の主観ですが、セッションを通して、「元(視覚野)から改善したい」という身体の欲求を感じました。
「“呼ばれる場所”にはちゃんと意味があるんだなあ…」と感じたセッションでした。
身体が持つ叡智はやっぱりスゴイ、と思った次第です。。。
(おわり)